2008年05月31日

41冊目

今年41冊目は
東野圭吾作『さまよう刃』(角川文庫)

一人娘を未成年の少年たちに蹂躙され、殺された父親の復讐劇である。
密告によって犯人が未成年の少年だと知った父親。、未成年の場合は、どんな凶悪な犯罪であろうと、名前が公表されるわけでもなく、ましてや死刑にされるわけでもない。「復讐はすべきではない」という道徳観と、被害者としての悲しみや悔しさの狭間で揺れ動いていく。
ここ数年、犯罪の凶悪化と共に、犯人への厳罰化が社会の風潮となっている。被害者は一生を奪われてしまうのに、加害者はそうではない。まして未成年の場合は・・・。誰が裁くのか。法は誰を守るのか。警察は・・・
そんな事をテーマに据えた、サスペンスドラマ。思いもしない結末が待っていた。

例によってカバーの紹介文を。
長峰の一人娘、絵摩の死体が荒川から発見された。花火大会の帰りに、未成年の少年グループによって蹂躙された末の遺棄だった。謎の密告電話によって犯人を知った長峰は、突き動かされるように娘の復讐に乗り出した。犯人の一人を殺害し、さらに逃亡する父親を警察とマスコミが追う。正義とは何か。誰が犯人を裁くのか。世論を巻き込み、事件は予想外の結末を迎える。重く哀しいテーマに挑んだ、心を揺さぶる傑作長編。  

Posted by 山遊記 at 15:49Comments(0)TrackBack(0)読書

2008年05月28日

40冊目。

読む本の9割方は推理小説ですが、今回はご多分に漏れず推理小説。

『ビート  警視庁強行犯係・樋口顕』
著者:今野敏
新潮文庫

副題にあるように警察官を主人公とした推理小説。
とは言っても、謎解きに重きが置かれたものではなく、登場する人の考えとそれに伴う行動が良く描かれている。人物にも存在感があり、楽しめるが、結末は、警察(もしくは登場人物)にやや甘い物となっているには否めない。

文庫のカバーを紹介すると
警視庁捜査二課・島崎洋平は震えていた。自分と長男を脅していた銀行員の富岡を殺したのは、次男の英治ではないか、という疑惑を抱いたからだ。ダンスに熱中し、家族と折り合いの悪い息子ではあったが、富岡と接触していたのは事実だ。捜査本部で共にこの事件を追っていた樋口顕は、やがて島崎の深淵に気付く。捜査官と家庭人の狭間で苦悩する男たちを描いた、本格警察小説。  

Posted by 山遊記 at 20:22Comments(0)TrackBack(0)読書